環境負荷の軽減が叫ばれる昨今、家庭においても環境にやさしい方法で生活したいという人たちも増えてきました。
そこでこの記事では、家事の中でも「掃除」に絞って環境負荷を軽減する方法を解説していきます。
環境にやさしい掃除のメリット
環境にやさしい掃除に取り組むことは、有害な物質をなるべく家庭から出さないことで、環境負荷を下げることにつながります。
一人ひとりの力は小さくても、各家庭が少しずつ努力することで、大きな貢献となります。
しかし、それ以外にも環境にやさしい掃除に取り組むことには、様々なメリットがあります。
一旦、環境負荷以外の面にも目を向けてみましょう。
コスパの向上
環境にやさしい掃除方法とは、ざっくりと言えば洗剤を使う量を減らしたり、環境負荷の少ない洗剤を用いて掃除することです。
そのため、洗剤を使う頻度が減るので掃除のコストパフォーマンスも向上します。
洗剤を都度購入していると、意外と家計の負担になります。
食器用洗剤、風呂用洗剤、トイレ用洗剤などなど各設備に特化した洗剤は、確かに効果的かもしれませんが、一つひとつそろえると思わぬ出費になるということも起こるでしょう。
環境にやさしい掃除では、これらの洗剤を共用もしくは自分で作ることによって、洗剤を購入するコストの削減にもつながります。
肌に優しい
環境にやさしいということは、私たちの体にやさしいということにつながります。
環境負荷の少ない洗剤は、人体にとって有害な物質をあまり含んでいません。場合によっては、極力洗剤を使わない掃除方法を選択します。
そのため、手荒れや肌荒れが気になるという人は、環境に優しい掃除に取り組むことで、自らの体を傷つけないことにもなります。
とくに、敏感肌の人や小さな子どものいる家庭ではメリットが大きいでしょう。
環境にやさしい掃除の基本
環境にやさしい掃除方法には、共通した基本があります。
合成洗剤を極力避ける
市販の合成洗剤は、洗浄力が強力で掃除の手間を大きく減らしてくれます。
しかしその反面、環境負荷が高いというデメリットを持っています。
合成洗剤に含まれる成分の、界面活性剤やリン酸塩などは、自然環境に悪影響を及ぼす可能性が報告されています。
1977年にはリン酸塩によって増えすぎたプランクトンが赤潮を発生させ、琵琶湖で大きな被害をもたらしました。この現象を「富栄養化現象」といい、水質汚染の原因の一つとして問題視されています。
また、界面活性剤が泡立ちを良くするために使用されていますが、含まれる成分が分解されにくいため、水中に泡を残すことがあります。
さらには、プラスチックで作られたボトルや容器は環境負荷を高める要因となっています。
もちろん、メーカーや行政はこれらの問題に対処していますが、各家庭でも注意する必要があるでしょう。
環境にやさしい掃除では、極力合成洗剤を使わずに掃除を行います。
掃除の頻度
環境にやさしい掃除をするためには、洗剤を使った掃除の頻度を減らし、洗剤を使わない掃除をこまめに行います。
汚れをためすぎると、その分汚れは落ちにくくなり強力な洗剤が大量に必要になります。
そのため、日頃からこまめに掃除を行い、汚れをためないようにするのがポイントです。
お風呂や洗面台の水気は使用するたびに拭いてカビの発生を抑えたり、キッチンの排水口は毎回掃除して詰まらないようにすることで、合成洗剤を使う頻度を減らします。
環境にやさしい洗剤
環境にやさしい掃除には、環境負荷の少ない自然由来の成分をもつ洗剤を使用しましょう。
市販の洗剤でも環境負荷の少ない洗剤は「天然洗剤」というカテゴリーで販売されており、それらの洗剤を購入して使うのもひとつの手段です。
天然洗剤とは合成界面活性剤を使用していない、100%天然の成分で作られた洗剤のことです。
しかし、さらに環境負荷を下げたいと思うのであれば、重曹やクエン酸などを利用することがおすすめです。
重曹
重曹はアルカリ性の性質を持っており、カビや油汚れなど酸性の性質をもつ汚れに効果があります。
粉末の状態で販売されており、その都度水に溶かして使用するため、不要な容器が発生したりすることもありません。
汚れの量にもよりますが、100mLの水に対して小さじ1/2程度の重曹を溶かして使用します。
クエン酸と組み合わせて使用することもあり、クエン酸と混ざると発砲しますが人体には無害な点も使用しやすいポイントです。
クエン酸とお酢
クエン酸やお酢も、定番の掃除アイテムです。
クエン酸はレモンなどの果物から、お酢は穀物などから作られる天然の素材なので、人体にやさしく環境に負荷をかけません。
酸性の性質を持っており、アルカリ性の水あかや、トイレの尿石などの汚れに効果があります。
100mLの水に対して小さじ1杯程度を混ぜて使用します。
わざわざクエン酸を買わなくても、お酢でも同じように使用できるので、無駄がない掃除アイテムと言えるでしょう。
セスキ炭酸ソーダ
セスキ炭酸ソーダ、またはセスキ炭酸ナトリウムとも呼ばれる無機化合物で、掃除や洗濯など様々な家庭用途に使用できる多目的なアイテムです。
環境に優しい製品として注目されており、合成洗剤に比べて環境への負荷が少ないため、市販の天然洗剤に含まれています。
セスキ炭酸ソーダは、さらさらとした結晶状で、水に溶けやすく、油汚れなどに対して高い洗浄力を発揮します。
また、重曹と同じ弱アルカリ性であるため、手で触れても手荒れのリスクが少なく、安全に使用できます。
そのため、幼児やペットのいる家庭でも安心して使用できます。また、常温下で長期間保存が可能なことも掃除に使いやすい点です。
セスキ炭酸ソーダが使える主な汚れは、キッチンの油汚れ、皮脂汚れ、衣類の血液汚れ、ドアノブやスイッチについた手あかに効果を発揮し、さらに消臭作用も持っています。
ただ、水あかやアルカリ性の汚れには効果がありません。また、長時間放置した本格的な油汚れや泥汚れ、衣類についたしょうゆやソースのシミなどは、別の洗剤を使用する必要があります。
ナノバブル
ナノバブルを含んだクリーナーも、環境負荷が低い洗剤として注目されています。
ナノバブルとは、極小の泡のことでその大きさは1μm未満しかなく、水滴よりもはるかに小さいサイズです。
この極小の泡が、あらゆる隙間に入り込んで汚れを落とします。
また、この泡はマイナス電荷を帯電しており、プラスの電荷をもつ汚れを吸着するという働きも持っています。
ナノバブルは、非常に小さい泡なので浮力がほとんどなく、水面に浮かんで消えるということもありません。長期間水中にとどまるので、ナノバブルを含んだ天然洗剤も販売されています。
近年、ナノバブルを発生させるシャワーヘッドやノズルの登場によって家庭でも一般的になりましたが、高い清潔性を求められる医療機関や食品業界においてはナノバブルを用いた掃除は定番の方法です。
水と空気のみで生成されるので、あらゆる場所の汚れに使用でき、人体や環境に最もやさしい掃除方法のひとつです。
まとめ
環境にやさしい掃除方法について解説してきました。
汚れの種類に合わせて、重曹やクエン酸、もしくはセスキ炭酸ソーダやナノバブルを洗剤として使うことで環境負荷をかけずに掃除ができます。
重曹 | 油汚れ、皮脂汚れ、排水口の汚れ、カビなどの汚れに効果的 |
クエン酸・お酢 | 水あか、尿石などの汚れに効果的 |
セスキ炭酸ソーダ | 油汚れ、皮脂汚れ、排水口の汚れ、カビなどの汚れに効果的 |
ナノバブル | あらゆる場所で使用可能 |
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