症状についても詳しく解説 バイオフィルムとは

「バイオフィルム」は私たちの日常の至る所で発生し、トラブルの原因となり、時には健康に被害を与えることもあります。

この記事では、バイオフィルムについて詳しく解説し、その形成の要因、発生する仕組みや場所、そしてバイオフィルムが引き起こす様々なトラブルについて紹介します。

バイオフィルムとは

バイオフィルムとは、微生物たちが一定の場所に蓄積され、共同体を形成する現象です。

バイオフィルムは、歯の表面の歯垢(プラーク)や、排水管、川の岩、船の船底など、水分があるあらゆる場所に存在します。

バイオフィルム内では様々な種類の微生物同士が共生の形をとっており、形成される場所や含まれる微生物によって性質が異なります。

また、自然界で発生したバイオフィルムには、環境の浄化作用もあると考えられています。

しかし、人間の生活圏で発生するバイオフィルムは、時として私たちの生活に悪い影響を与えることもあります。

そのため、バイオフィルムが発生した場合は除去する必要があり、医療や環境設備の分野ではいかにバイオフィルムを取り除くかと言うことが課題になっています。

また、家庭においてもバイオフィルムは発生し、私たちの生活水準を下げる原因にもなっています。

バイオフィルムが出来る要因

人間の活動にともなってバイオフィルムは形成されます。

バイオフィルムが形成される過程には、水と微生物の栄養となるものが必要です。

例えば、排水管を流れる食べ残しや油などの有機物、口内にとどまっている食べかすなどが微生物が好む栄養素にあたります。もちろん、どちらも水分が多い場所です。

バイオフィルムの元になる微生物は、物質の表面に付着し「細胞外多糖」を分泌します。これによって物質に固着し、徐々に数を増やすことでバイオフィルムを形成します。

バイオフィルムができる場所

バイオフィルムは様々な場所で形成されます。

実際に発生する場所は多岐に渡りますが、特にできやすい場所をピックアップしました。

生物の口の中

歯の表面につく歯垢(プラーク)もバイオフィルムと定義されます。

歯の表面に付着した食べかすが、微生物の栄養素となり増殖してバイオフィルムを形成します。

口の中にできたバイオフィルムは、時間がたつと歯石になり自分での除去が難しくなります。

バイオフィルムを放置しておくと、虫歯や歯周病の原因となり、あらゆる身体のトラブルを引き起こします。

医療機器

石膏トラップやカテーテルなど、医療機器でもバイオフィルムが問題となります。

医療機器の表面や内部にバイオフィルムが形成されることで、感染症のリスクが増加します。

そのため、医療機器はバイオフィルムが発生しないように、細心の注意を払って洗浄されています。

排水管や水回り

排水管や水回りでもバイオフィルムが形成され、ぬめりや詰まり、配管の劣化を引き起こします。

食べかすや身体から排出されたものが微生物の栄養となり、バイオフィルムを形成します。

例えば、お風呂の床と排水溝周りのぬめりやカビもバイオフィルムにあたります。トイレの汚れもバイオフィルムです。

また、バイオフィルムが排水管の内側に定着すると、臭いや詰まり、バイオフィルムを餌とする害虫を発生させる原因になります。

食品の生産機器など

食品産業でもバイオフィルムは問題視されています。

食品の製造過程の中で、生産機器に微生物がバイオフィルムを形成すると、食品の品質や安全性に影響を及ぼす可能性があります。

多くの食品工場では、定期的な機器の洗浄を行っています。

自然の中

自然界においても、バイオフィルムは広く存在します。

川や湖の底にある岩の表面、水中の植物、船底など、あらゆる場所で微生物によって形成されます。

人間の生活圏でできるバイオフィルムと異なり、生態系の中で重要な役割を果たしていると言われています。

​​バイオフィルムが起こすトラブル

ここでは人間の生活圏において、バイオフィルムが起こすトラブルを紹介していきます。

感染症や疾患のリスク

病原菌を含んだバイオフィルムが体内に取り込まれることで、感染症のリスクが生まれます。

具体的には、洗浄されていない医療機器を使用することがリスクとなります。

また、歯に付着したバイオフィルムを放置することで、歯周病や歯周病を原因とする合併症を引き起こします。

毎日のオーラルケアや定期的な歯科の受診で、口内のバイオフィルムを取り除く必要があります。

さらには、お風呂や水回りについた黒カビなどのバイオフィルムも、体内に入るとアレルギー症状を引き起こす原因になりうるので、清潔な生活環境を心がけましょう。

設備の劣化

バイオフィルムが形成された場所では、微生物の活動が様々な機器や設備の劣化を起こします。

特にキッチンやお風呂場、トイレの排水管の奥に潜むバイオフィルムは、清掃が難しいことからぬめりや詰まり、臭いを引き起こします。

長期間放置すると、水漏れや破損の原因となることも考えられます。

バイオフィルムを除去する手段

バイオフィルムを除去するためには、形成された場所によって異なる手段を用います。

様々な手段で除去が可能ですが、ここではバイオフィルムが発生した場所と、洗浄方法の一般的な組み合わせを一覧にしました。

バイオフィルムが形成された場所対応する洗浄方法
口内
  • 毎日のブラッシング
  • 医療機関における超音波洗浄
家庭の水回り
  • アルカリ性洗剤の使用
  • クリーニング業者による高圧洗浄
  • ナノバブルの使用
食品工場
  • 熱処理とブラッシング
医療機器
  • 熱処理、ナノバブル、滅菌処理の併用

ナノバブルについて

「ナノバブル」について補足します。

ナノバブルは公共機関や家庭、医療機関などあらゆる産業でバイオフィルムの除去に用いられている技術です。

水の中に微細なナノバブルを発生させることで、高い洗浄効果を実現しています。

薬剤を含まず、人体にも無害なことから、環境負荷が低く近年注目されているバイオフィルムの洗浄手段です。

すでに私たちにとって身近な場所でもナノバブルが利用されており、一部の公共機関の公衆トイレの水にはナノバブルが使用されています。

配管内のバイオフィルムの除去に高い効果を発揮しており、家庭や小規模事業者向けにも導入が進められています。

まとめ

バイオフィルムは私たちの毎日の活動の中で発生します。

食事や排せつ、食品の生産や医療機関の受診などで発生するので、人間とは切ってもきれない関係です。

しかし、バイオフィルムを放置することで、機器の劣化や健康面に被害を与えることもあるので、上手に付き合って行かなければいけません。

私たちの身近なところでは、家庭では水回りのぬめりや、配水管の詰まりを引き起こし、臭いを発生させることがあります。

さらに口の中では、バイオフィルムが蓄積されることで虫歯や歯周病の原因にもなります。

バイオフィルムの発生を抑えるような習慣や、定期的な洗浄を行うことで多くのリスクを回避できるでしょう。

WRITER
    • WDW 編集部
    • 株式会社ウォーターデザインワールド(WDW) 編集部は、当社の製品であるUFB DUAL®の魅力的を伝えるだけでなく、水と健康に関する有益な情報を提供することで、お客様の生活に役立つライフハックを提供しております。

掃除・洗浄関連投稿

サービスについて詳しく知りたい方はお問い合わせください!