最近、TVCMや広告等で“ナノバブル”という言葉をよく聞くのではないでしょうか。このナノバブルは高い洗浄効果を持つと言われていますが、ナノバブルの持つ高い殺菌効果にも注目が集まっています。
なぜナノバブルに殺菌効果があるか
ナノバブルとは、髪の毛の太さのおよそ1000分の1の極めて小さな泡です。ナノバブルは、衝撃波を受けるとエネルギーを放出して圧壊します。このときに放出されるエネルギーが、菌やウィルスを攻撃して増殖を抑制する効果を持つ物質を作り出すと言われています。
また、ナノレベルの小さな気泡が深部まで浸透するため、深部にある細菌やウィルスを徹底的に除去します。
ナノバブルの除菌が役立つ機会
ナノバブルの持つ除菌効果を利用している場面は、身近に多くあります。例えば、以下に挙げる場面で利用されています。
食品
食品の洗浄においては、微細なナノバブルが野菜や果物等の表面の奥深くまで浸透し、微細な汚れや細菌を取り除き、深部洗浄を実現しています。これにより、食品の高い除菌効果が得られています。
水回り
ナノバブルは、水回りにおいても除菌効果を発揮しています。例えば、食器の洗浄時にナノバブルが汚れを落ちやすくし除菌効果を発揮します。また、洗濯物の洗浄においては、ナノバブルが洗濯物の繊維の奥から洗浄し除菌効果が得られます。
配水管
浴室、洗面所、また台所等の配水管に付着したバイオフィルムの小さな隙間にナノバブルが入り込み、ぬめりや汚れを剥離し洗い流すことができます。これにより、高い除菌効果が得られ、配水管内を清潔な環境に保ちます。
農業
農業分野においては、農作物にナノバブル水を噴霧することにより微生物の除菌や病害虫の防除が可能になっています。また、収穫した農作物の洗浄にもナノバブルを利用することにより除菌効果を発揮しています。
医療
ナノバブルは、医療機器の洗浄および除菌はもちろんのこと、水中に長くとどまるナノバブルにより持続した除菌効果が得られます。医療機器の洗浄・消毒・殺菌が第一条件の医療分野においては、ナノバブルにより得られる除菌効果は大きいです。
実例
以上に挙げたように、ナノバブルは様々な分野において利用されています。ナノバブルが利用されている具体的な実例を見ていきましょう。
エビの身にナノバブルが浸透
エビは砂に潜る性質があるので、その砂の中の雑菌がエビに付着したり、養殖池の水中の細菌がエビの体内に侵入したりするため、これらの菌を除去する必要があります。そこで、生むきエビの身をナノバブルで洗浄することにより、エビの身にナノバブルが浸透し、エビの表面に付着した菌だけでなく身の内部の菌をも除菌し、90%近くの除菌に成功している実例があります。
牡蠣のノロウィルスを殺菌
牡蠣の生食の際に問題視されるノロウィルスは、牡蠣の中腸腺(消化器官)に蓄積されます。ノロウィルスが蓄積した牡蠣を十分に加熱しないで食べると、食中毒症状を引き起こしてしまいます。牡蠣に蓄積したノロウィルスを除去する方法の一つとして塩素系殺菌剤が利用されていますが、ノロウィルスは塩素系殺菌剤に対して抵抗力を持っており、殺菌のために塩素濃度を上げると牡蠣の味覚を著しく損なう問題がありました。ナノバブルの微細な泡を牡蠣内部に浸透させることにより、中腸線内のノロウィルスを吸着して体外に排出させる技術が実用化されています。これにより、食用として安全であるばかりでなく、味覚にも優れた牡蠣の出荷が可能となっています。
鶏肉の洗浄で細菌数の大幅低減
鶏肉はカンピロバクター食中毒の感染源として最も重要視されています。鶏肉の殺菌処理には次亜塩素酸ナトリウムが使用されていますが、次亜塩素酸ナトリウムは器具・器材に対する殺菌効果は認められるものの、鶏肉に付着した細菌に対する殺菌効果が低く、新たな殺菌処理の開発が求められていました。そこで、鶏肉をナノバブルで洗浄することにより、鶏肉に付着したカンピロバクター菌を大幅に低減することができています。
カット野菜の洗浄で殺菌
コンビニやスーパーで販売されているカット野菜は、殺菌工程において、高い殺菌効果があり低コストである次亜塩素酸ナトリウム水溶液等の塩素系薬剤が主に使われていますが、この方法では食材の損傷や変色等の劣化が生じたり、食材に薬剤由来の独特の臭気が残ったりすることが課題となっています。そこで、ナノバブルでカット野菜を洗浄・殺菌することにより、高い殺菌効果を発揮しながらも薬剤の臭気が残らない方法が実現されています。
トイレのサボったリング
トイレの便器の黒ずみ汚れ、いわゆるサボったリングは、カビ・微生物が原因です。定期的に掃除しなければ、カビ・微生物の原因となる成分が便器に蓄積し、黒ずみが発生しやすくなります。ナノバブルを利用することにより黒ずみの原因となるカビや微生物を吸着・分解し、流し落とすことで黒ずみを抑える効果があります。また、ナノバブルがニオイの元となる汚れをも除去できるので、脱臭効果も期待できます。
ナノバブル発生装置にはどんな種類があるか
私たちにとって身近な生活においても利用されているナノバブルですが、実際に家庭内でナノバブルを発生することができる装置にはどのようなものがあるのでしょうか。
シャワーヘッド
ナノバブルを発生させるシャワーヘッドがあります。自宅のシャワーヘッドをナノバブルシャワーヘッドに取り換えるだけで、気軽にナノバブルをシャワータイムに利用できます。ナノバブルが肌や頭皮の奥まで届くので皮脂や汚れを隅々まで落とすことができます。自宅のシャワーヘッドは、一般的なものであれば基本的にそのまま、もしくは付属のアダプターを用いて簡単に取り付けられます。
洗濯機
洗濯機に取り付けることができるタイプのものもあります。取り付け方はシンプルで、洗濯機から給水ホースを取り外し、ナノバブルを発生させるアダプターを装着し、給水ホースを取り付ければ完了です。ナノバブルが洗濯物の繊維の奥にまで浸透し、汚れやニオイの元に吸着した状態で洗い流すことにより除菌効果が得られます。洗濯機に取り付ければ、洗濯物だけでなく、洗濯槽に発生する黒カビ等の汚れ対策も可能となり、衣類の汚れ落ちがアップするうえ洗濯機のお手入れも楽になる便利アイテムです。
水道管
水道管に設置し家全体の水をナノバブル化できるものもあります。UFB DUAL®(ユーエフビーデュアル)は、ウルトラファインバブル生成ノズルであり、水道メーターや分岐ヘッダーの前後に設置することで家内のすべての水道水をナノバブル水にできます。これにより、上述したようなナノバブルシャワーヘッドや洗濯機に取り付けるアダプター等、特定の商品に組み込んで使用するものを使わずに、ナノバブルの効果を享受できます。また、水道管に設置するため、配水管にバイオフィルムや尿石が付着するのを防ぐことにより配水管を清潔に保つこともできます。
ナノバブル発生装置を選ぶ際のポイント
このように様々な種類があるナノバブル発生装置ですが、ナノバブル発生装置はたくさんのメーカーから販売されています。どこのメーカーから販売されているナノバブル発生装置を選ぶのがいいのか迷ってしまいますよね。そこで、ナノバブル発生装置を選ぶ際のポイントをご紹介します。
水圧
ナノバブル発生装置は、小さい空気の泡を含んだ霧状の水が噴射されるため、水圧が弱いと感じる人が多いです。水圧が弱いと、しっかりと洗浄できていないように感じたり、洗い流すのに時間がかかったり等、ストレスを感じる人が多いのではないでしょうか。そこで、適度な強い水圧をお好みの方は、水圧が高いものや水圧が調整できるもの等、ナノバブル発生装置の水圧に着目して選ぶといいかもしれません。
水量
ナノバブル発生装置は、水流が調整できるものが多くあります。勢いのあるストレートタイプの水流や肌当たりが優しいミストタイプの水流等、洗い流すパーツによって水流を使い分けることで、ナノバブルの効果を最大限に発揮できます。2種類以上の水流に切り替えられるメーカーが多いですが、メーカーによっては4種類以上に水流を切り替えられるものもあります。効果的にナノバブル水を利用するために、水流調整の有無や水流の種類は重要と言えますね。
電気を使うかどうか
ナノバブル発生装置の電力消費量が大きいかどうかも選ぶ際の重要なポイントです。ナノバブル発生装置のなかには、ナノバブルを発生させるために電力を多く消費するものもあります。また、上述した水圧・水量を調整するために別途ポンプが必要となるものもあり、この場合もまた消費電力が大きくなります。いくらナノバブルに高い効果があるといっても、ランニングコストが高ければナノバブル発生装置を取り入れるのが躊躇われてしまいますよね。ナノバブル発生装置を選ぶ際には、電力消費量もぜひチェックしてみてください。
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