今や私たちの暮らしの中にたくさんのメリットをもたらしているナノバブルですが、農業分野における植物においても様々な効果が実証されはじめています。マイクロバブルやナノバブルは、植物や作物の栽培においてどのような効果をもたらしているのでしょうか?農業分野でのナノバブルの効果や活用方法と、その利用方法や導入事例を紹介します。農家さんだけではなく、シェア畑での植物の栽培や家庭菜園・自宅でのプランター栽培にでも活用できるナノバブル水の力を本ページでは細かくまとめてみました。
超微細な気泡、「ナノバブル」とは
シャワーヘッドのCMでもおなじみのナノバブル水。通常の気泡とは異なる性質を持ちながらも、水と気体だけを原料とし、今や様々な分野で広く利用されています。
通常の気泡(ミリバブル、センチバブル)は直径50μm以上のものをさすのに対して、極微細な気泡はそれぞれ、マイクロバブル・マイクロナノバブル・ナノバブル(ウルトラファインバブル)という名前がついています。その中でも、ナノバブルは直径1㎛以下の、最もサイズの小さい気泡と定義されています。
このナノバブルは今、農業分野への効果や活用方法が大変注目されています。特筆すべき特徴として、「数カ月もの間水中で弾けない(長期残存)という性質」や、「表面にマイナス電荷を帯びるという性質」があげられます。
ブラウン運動と呼ばれる動きで水中を漂い、数カ月程水中に留まることができるので、水中の溶存酸素量を増やして作物の根へ多くの酸素を供給し、作物の生育によい影響を与えると考えられています。
また、ナノバブル水は土壌への浸透性が高いため、硬い土にも染み込みやすく、農作物に効率的に養分や水分を供給できるのです。
ナノバブルの特性と農業への効果や期待
6このようにナノバブル水は、
- 水分や酸素など土壌への浸透性が高くなる
- ナノバブルが水中に長時間とどまる性質があるため、水中の溶存酸素量を増やせる
- マイナス電荷を帯びたナノバブルが、作物の生育に必要なプラス電荷の栄養素を効率的に集積・運搬する
といった特性を持つため、農作物の収量増や品質向上につながると期待される存在なのです。以下詳しく見ていきましょう。
根の生育を促す
植物の成長において、根の発育はとても重要です。そして根が活動する土壌は、植物にとって活動の基盤です。多くの植物の根は土の中で伸びることで、水分や栄養分を吸収してくれます。植物の根の成長にとって大切なのは、根の生育に適した温度であること、土の酸度(pH)が適切であること、そして、土の中に新鮮な空気があることです。根がしっかりと張ることで、作物は水や栄養を吸収し、根が作物の体を支えるのです。ナノバブル水を使用することで根量が多くなり、細根が出て根の密度が高くなるので、土にしっかりと根を張ることができます。結果として、根の生育を促すだけではなく、「病害虫に強くなる」、「収穫量や品質の向上」、「なり疲れの時期に収穫量が落ちない」など、植物の健全な育成にうれしい効果が期待できます。
ナノバブル水は、この作物の成長にとってとても重要な根の発育を早めることができるのです。
また、ナノバブル水の特徴の一つに「水の表面張力を小さくする」点が挙げられます。ナノバブルを含んだ水は、浸透性が高く、硬い土壌にも染み込みやすく、作物へ効率的に養分や水分を供給します。
さらに、ナノバブル水の中のナノバブルは、水面に上昇する力が働きにくいので、水中に長い時間とどまることができます。そのため水中の溶存酸素量が高くなり、植物の根へ多くの酸素を供給できるので、作物の生育によい影響を与えると考えられています。
地下水を潅水に利用することの多い施設栽培では、水中の酸素欠乏によって土が硬くなりがちです。ナノバブルは施設栽培のデメリットを補いながら、高い浸透性によって健全な根の生育を促すことができるのです。
品質の向上
ナノバブルの表面は、マイナスの電荷を帯びているのが特徴です。マイナス電荷を帯びているナノバブルが、作物の生育に必要なプラス電荷の栄養素を効率的に集積・運搬することによって、作物の栄養吸収を助け、品質を向上させることができます。具体的には、作物の生育に大切な「Na(ナトリウム)」、「Ca(カルシウム)」、「Mg(マグネシウム)」といった栄養素はプラスの電荷を帯びているため、ナノバブルを含んだ水にはこうした栄養素が集積されやすくなるのです。
また、ナノバブル水は、高い浸透性によって作物まで効率的に養液を運搬してくれることもあり、作物が生育しやすい環境を整えることができます。
例えば、農地に散水する際、硬い土だと、通常の水道水では浸透が容易ではありません。
しかし、ナノバブル水は、毛細管現象によって地中深くにまで水が浸透しやすくなります。
水に含まれる酸素が土中に浸透することで、地中の微生物が活性化し、排せつを促します。それが土の栄養になり、土自体を柔らかくし、土壌の改良につながるのです。
収穫量の増加
ナノバブルによって酸素が作物に供給されることで、樹勢が良好になり、その結果、収穫量が大幅にアップすることが期待できます。水耕栽培、露地栽培共に、苗竹・根量・実の重さの増加が確認されています。
根が元気になれば、茎・葉の成長が促進されて健康に育つことができます。植物自体の成長が促進されることで、「ランナーが伸びて苗がたくさん取れた」、「年間の収穫量が増えた」など、収穫量の増加が期待でき、安定した農業生産活動を行うことができます。
発芽率の増加
ほうれん草やビーツの種子は非常に硬い果皮に覆われているのが特徴で、その果皮は種子の給水や膨潤を阻害してしまうので、発芽が困難とされています。
果皮をあらかじめ取り除くことで発芽を促す方法もあるのですが、浸種処理する方法でナノバブルが活躍します。
浸種処理の際に使用する水の酸素濃度の低下が発芽不良につながるのですが、ナノバブル水に種子を浸種することで発芽率が上がるのです。実験では、浸種開始7日目で通常気泡で酸素供給した種子に比べ、ナノバブル水の方は発芽率が約2倍になったことが報告されています。
発芽率が増加することで、農作物のさらなる収穫量の向上や利益率の向上が見込めます。
ナノバブル農業利用例
ナノバブルの効果は、科学的にしっかりと解明できていない部分もまだありますが、様々な実験の結果から、農業経営の効率化につながるデータが集まりつつあります。
ナノバブルを含んだナノバブル水は、「潅水の溶存酸素量を増加させる」「栄養素の集積・運搬効果により作物の栄養吸収を促進させる」といった特性により、作物の収量増や品質向上につながることが期待されています。
導入にはそれなりのコストがかかるものの、近年の技術革新によって小型化や低コスト化が進んでいるのも追い風となります。ナノバブルの作物への利用は、これまでにない新しい風を農業にもたらしています。
着果量2倍でもLサイズの比率がアップ!糖度の上昇など嬉しい効果
岐阜県産業技術センターでは、マルドリ栽培とマイクロ・ナノバブル水を散布する栽培方法との比較テストを行いました。マルドリ栽培とは、従来、行われていたプラスチックシートで園地を覆って栽培する方法に、点滴かん水施肥を組み合わせることで、養水分を高度かつ省力的に制御し、果実の高品質化を実現しようとする技術です。マイクロ・ナノバブル水を与えた果樹は、着果量が倍増し、Lサイズ以上の規格品の比率がアップ、さらに糖度が16%を超えるものが多くできるという結果になりました。また、ポット柿栽培でのテストでは、収穫果実の階級割合が、Sサイズが減り、M、Lサイズが約2倍に増えるという結果になりました。
発芽・栽培の双方においてナノバブル水を用いることで良好な結果
ナノバブル水を用いた実験では、発芽試験と栽培試験の双方において良好な結果が得られています。
具体的には、ほうれん草の発芽において他の機能水やRO水(逆浸透膜でろ過した水)が発芽率70%を超えたのが播種後8日程度だったのに対し、ナノバブル水の場合では播種後6日程度で発芽率70%を超えました。
また、小松菜の栽培試験では、ナノバブル水を用いた株は草丈28.38cm、地上部新鮮重107.32gr(通常の水道水は草丈26.06cm、地上部新鮮重90.74gr)と、草丈・地上部新鮮重のいずれにおいても大きな差が出ました。
その他、土壌菌の総数の増加につながるデータが得られた点も見逃せません。きゅうり栽培において一般的な水道水の散布を行った際、散布後1ヵ月では微生物総数に大きな変化はありませんでしたが、ナノバブル水を散布した土壌では微生物総数が1平方m当たり4,200万から5,600万に増えたのです。
マイクロバブル水でワサビの発芽率が3倍超え
東北大学未来科学技術共同研究センターの高橋正好特任教授とオリエンタル白石株式会社は、共同研究を進める中で、ナノバブルを使うことで難発芽性種子である本ワサビの大幅な発芽率向上に成功しました。ナノバブルを利用することで、本わさびの種子の発芽率を20%から70%程度まで高めることに成功したのです。そのメカニズムとして、ナノバブルがカリウムイオンを種子の内部に能動的に運び入れる現象を発見しました。その効率は非常に高く、水溶液中のカリウムイオン濃度が99%以上低下したのに対し、ナノバブルがない場合は同じ水質条件であってもカリウムイオンの濃度低下はわずか10%程度でした。小さな泡がナノレベルでの物質のやり取りに貢献できるという今回の発見は、生命現象を含めた様々な分野での実用展開に向け、新たな一歩になり得るものと言えます。
出典:東北大学
ナノバブル発生装置の種類
ナノバブルを発生させる方法は一つだけではなく、各メーカーが装置の開発に取り組んでいます。水や気体を高速で圧入する旋回流方式や、ポンプで加圧する加圧融解方式など、メーカーにより異なる気泡の発生方法がとられ、それぞれ生成される気体の気泡径や見た目、水流の強さなどに特徴があります。
近年では、従来よりも大幅な小型化や省エネルギー化を実現した装置が登場しています。技術開発が進んだことで、製品によっては水だけでなく粘性のある液体や空気以外のガスなども気泡に混ぜられるようになったことも注目すべきポイントです。
出典:
株式会社安斉菅鉄 「ナノバブルとは?」
株式会社ナック「農業へのマイクロ・ナノバブル利用について」
UFB DUAL®(ユーエフビーデュアル)
ウルトラファインバブル発生ノズル『UFB DUAL®』は、特許技術により水道機器認証と飲用適水テストに合格している、ウルトラファインバブル水の生成ノズルです。ノズル1本で、暮らし全体の“水”が変わるテクノロジーで、1ccに5000万個以上のナノバブルを発生させる商品です。シャワーヘッドや洗濯機を変えることなく、水道の配管に取り付けることでお家の水道を“まるごと”ウルトラファインバブル水に変えることができます。
出典:UFB DUAL®
農事用オーラジェット
農事用オーラジェットは、施設既存の井戸ポンプに組み込むだけで井戸水を瞬時に植物最適水に変換することができる画期的な装置です。小型でありながらも大型装置をも上回るスペックを有しています。
国内の大部分の農業施設では、灌水に井戸水を使用しています。しかし、井戸水に含まれている酸素量が一般的に極めて低いという現状はあまり知られていません。灌水の酸素不足は、根腐れなどの症状を引き起こし、植物本来の生長を阻害する原因となります。
農事用オーラジェットは、既存の設備に容易に取り付けるだけで酸素量の低い灌水の酸素量を飽和近くまで向上させる事が可能で、マイクロ・ナノバブルの有する活性酸素種(ラジカル)が根に微弱な刺激を与えることで、植物の生長促進による収穫量の増加や健康な植物に育つことによる病害虫への耐性、農薬や肥料の削減などを期待することができます。従来の大型装置を上回るスペックを発揮しながらも、手のひらサイズの小型化を実現した画期的な装置です。
出典:株式会社オーラテック
超微細孔式ナノバブル発生装置「AzNano10^10」
ナノバブル技術は「電力消費が大きい」「大型化が出来ない」といった弱点や、効果が期待できるとわかってはいるものの初期導入運用コストがかなりかかるといった費用対効果の点が問題になるのではないでしょうか。
安斉管鉄社の独自技術(特許取得済み)の、超微細孔式ナノバブル発生装置「AzNano10^10」は、それらの弱点をカバーすることに成功しました。ディフューザーそのものは殆ど電気を消費せず、コストを抑えた大型化も可能です。初期導入・ランニングコストを大幅に抑えることができるので、大規模事業にも適用可能です。
出典:株式会社安斉管鉄
農業だけでない。ナノバブルの実用について
ナノバブルの性質を活かした使用用途は、農業だけでなく多岐に及びます。殺菌力・洗浄力を活かして、病院や介護施設などで利用できます。また、環境の浄化を目的とするならば、一般排水や工場排水などの排水処理、河川や池や海水の水質浄化などに活用できます。更に、生態活性化・細胞保護・成長促進の観点からみれば、農業や植物の生育にとどまらず、魚の鮮度維持、牡蠣やエビなどの貝・甲殻類や魚類の養殖などにも利用できるでしょう。そのほか、私たちの日常生活においても、様々な利用方法が考えられます。
洗濯物の臭いや汚れ落ち
ナノバブルの洗浄効果は頭皮や顔・身体に限った事ではありません。ナノバブルの、洗浄・水質浄化・消臭・菌死滅効果を活かして、ご家庭の洗濯物の臭いや汚れ落ちに効果を発揮します。
まず、ナノバブルが頑固な汚れや臭いの原因(バイオフィルム)の下に潜り込み乖離させます。そして、汚れを吸着・除去することで洗浄効果を向上させます。さらに、洗剤を溶解することで洗浄効果を上げたり、柔軟剤を水中で分散させたりすることにより、その効果を上げることができます。
また、ナノバブルは衣類の微細な汚れだけでなく、洗濯機槽の黒カビ・臭い菌を流し落とす効果があります。そして排水されるナノバブル水によって、排水管の汚れまで吸着分解するので、洗濯物の汚れや臭いを効果的に落とすだけでなく、洗濯槽や排水溝を常に綺麗な状態に保つことができるのです。
排水菅を綺麗にする
排水管などの水が触れることでバイオフィルムが発生しやすい箇所へも効果が現れます。
ナノバブルは、小さすぎて浮力が働かず、長期間水中に存在しています。
しかも、泡がマイナスに帯電しているため、プラスに帯電している汚れも吸着する性質もあります。この二つの性質のおかげで、ナノバブルは汚れの隙間に入り込んで汚れを剥離し、洗い流す事ができるのです。しかも、配管の内側にナノバブルが吸着するので、汚れの再付着をガードしてくれる効果もあるのです。また、排水管からの嫌な臭い、これはヌメリ汚れが発生している証拠です。ナノバブルは、特にこのヌメリ汚れの原因であるバイオフィルムに有効なのです。
トイレの汚れ防止
トイレの便器には、常に水が溜まっている状態であり、その水回りには汚れや黒カビが多く発生します。しかしナノバブル水の使用で溜水が腐りにくくなり黒ずみ汚れが付きにくく、汚れを吸着・分解させる効果で黒カビの抑制やトイレの独特な臭いも抑えることができるのです。
浴槽の水垢防止
ナノバブル水には汚れやウイルス、菌などを吸着させる効果があり、霧吹きにナノバブル水を入れ汚れた部分に吹付けてそのまま拭き取ると、簡単に汚れが取れます。また、ナノバブルの高い洗浄効果で、気になる汚れや水垢などの付着を防ぐことができるので、日々のお掃除が楽になります。浴槽や浴室の他にも、排水口や排水管内部の汚れも改善されることで、臭いも抑制されます。
ペットの臭い防止
ナノバブルを含んだ水は、表面張力が弱まることで汚れの隙間に入り込み、汚れを乖離して除去します。また、マイナスの電荷を帯びたナノバブルは浦須の電荷を帯びた物質(汚れ)を吸着することで汚れを除去します。ペットのシャンプーにナノバブルを使用すると、毛穴の奥からしっかりと汚れを落とし、皮膚や被毛を清潔に保つだけでなく、毛並みが良くなり、加えてペットの臭いの軽減、皮膚病の予防、シャンプー時間の短縮などうれしい効果が期待できます。
参照元:旭リサーチセンター公式HP
参照元:J-STAGE公式HP
UFB DUAL®でまるごとナノバブルに
UFB DUAL®ならノズルを水道管に設置するだけで、おうち丸ごとナノバブル®にできます。
ウルトラファインバブル発生ノズル『UFB DUA®』とは?
特許技術によって水道機器認証と飲用適水テストに合格している、ウルトラファインバブル水の生成ノズルです。導入実績は、なんと全国で7,000社以上(2022年11月時点)。シャワーヘッド、キッチンの水回り、洗濯機などを個別に変えることなく、水道の配管に取り付けることでお家の水道を“まるごと”ウルトラファインバブル水に変えることができます。
外気を利用して泡を発生させる場合は、空気中に存在する菌やウイルスが混入する可能性がありますが、『UFB DUAL®』は、外気を利用せずに水の中に含まれる空気成分を利用してウルトラファインバブルを発生させる独自の技術を開発、特許を取得しています。水量、水圧がほとんど落ちないため、いつも通りの使用感でストレスフリーに使用できるのも魅力です。
まとめ
ナノバブル水の効果は、科学的にしっかりと解明できていない部分もまだあるとはいえ、様々な実証実験や研究から、その素晴らしい効果が明らかになってきました。導入には初期導入運用コストがかかりますが、それを超えるほどのメリットがたくさんあります。私たちの日々の暮らしや、食に直結している農業でのナノバブルの利用は、まだまだこれからも広がりを見せるでしょう。ナノバブル水の利用によって、農業においては畑で使用する農薬や肥料を減らしても収穫量を増やすことができたり、作物の質を上げることができる、日常の暮らしにおいては洗剤を減らしても汚れを落とすことができたりするなど、環境負荷の面やサスティナブルな農業や生活を行うと言う観点からも注目されるべき点があります。皆さんも、ナノバブル水の利用を考えてみてはいかがでしょうか?
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