洗浄・消毒・滅菌の違いとは何か?

普段何気なく使っている「洗浄」「消毒」「滅菌」という言葉ですが、厳密には違いがあります。

そのほかにも、除菌や殺菌など似たような言葉は数多くありますが、全て異なる意味を持っています。

そこで、この記事では洗浄、消毒、滅菌の違いについて、詳しく紹介し、そのほかの似た言葉についての定義も紹介します。

洗浄とは?

  • キッチン掃除・排水口

洗浄は、対象物からあらゆる異物や汚れを除去するプロセスを指す言葉です。

洗浄によって、物体の表面についた汚れを落とし、目に見える部分をきれいにします。

洗浄の具体的な例

洗浄の方法は主に3つに分かれます。また、医療や製造業など分野によってはさらに細分化します。

  • 用手洗浄
    用手洗浄は、洗浄剤、ブラシ、スポンジなどを使って手作業で、物理的に対象物を洗浄する方法です。
    汚れている対象物に洗浄剤を適用し、ブラシやスポンジを使って摩擦を加え、汚れを物理的に除去します。手で洗浄するため、細かい部分や複雑な形状の器材にも対応できます。
    用手洗浄は、食器、調理器具、医療器具、工具、車両部品など、あらゆる対象物の洗浄に使用されます。
  • 浸漬洗浄
    浸漬洗浄は、洗浄剤などに対象物を浸漬させ、付着した汚れを分解し、除去する方法です。
    汚れた対象物を一定時間洗浄液に浸け、洗浄液の特性を利用して汚れを浮かせて分解します。
    浸漬洗浄は、医療器具や実験器具、調理器具、ガラス製品、もしくは付着してから時間の経過した汚れなど、高度な衛生基準が求められる対象物に使用されます。
  • 機械洗浄
    機械洗浄は、機械を使用して、超音波や水圧、洗浄剤を組み合わせて対象物を洗浄する方法です。
    超音波や高圧水流を発生させる専用の洗浄機器を使用することで、汚れを落とします。
    機械の安定した動作により、効率よく洗浄が行われます。
    機械洗浄は、医療機器、工業用部品、精密機器、自動車部品、宝石など、大量の対象物を高速かつ効果的に洗浄する必要がある場面で使用されます。

消毒とは?

消毒は、微生物、特に病原性微生物を減少させたり、感染力を失わせることによって病気の拡大を予防するために用いられるプロセスを指す言葉です。

アルコール消毒は身近な消毒方法の代表です。アルコールの作用によって、人体や物体に付着した病原性微生物を減少させます。

消毒の具体的な例

消毒の方法は主に「物理的消毒法」と「化学的消毒法」の2つに分かれます。

物理的消毒法

  • 熱水消毒
    蒸気や熱水を使用して消毒する方法です。通常、65℃から100℃の高温で処理されます。
    医療機器、調理器具、ぬいぐるみなど、熱に強い対象物の消毒に使用されます。
  • 煮沸消毒
    対象物を熱湯に沈め、15分以上煮沸する方法です。高温によって微生物を除去します。
    飲料の消毒、調理器具、ベビー用品の一部など、煮沸に耐える対象物の消毒に使用されます。
  • 紫外線法
    紫外線を使用して消毒する方法です。放射線が当たっている表面にのみ効果があります。
    これらの物理的消毒法は化学製品を使わないため、安全な消毒法として利用されています。

科学的消毒法

  • 浸漬法
    容器に消毒液を入れ、器具を薬液に浸して消毒する方法です。薬液が対象物に浸透し、微生物を除去します。
    医療器具、実験器具、工業用部品など、液体に浸すことができる対象物の消毒に使用されます。
  • 清拭法
    布やガーゼに薬液を染み込ませ、表面を拭き取る方法です。薬液を含む布で物体表面を拭いて微生物を取り除きます。
    手すり、テーブルなど、頻繁に手が触れる場所の消毒に使用されます。
  • 散布法
    スプレーで消毒液を物体に散布する方法です。清拭法では手の届かない場所にも消毒剤を適用できます。
    医療機関、食品業界、清掃など大きな面積や複雑な形状の対象物の消毒に使用されます。

滅菌とは?

滅菌は、細菌、ウイルス、真菌などの微生物を完全に除去するプロセスであり、無菌性(すべての微生物が存在しない状態)を達成するための高度な消毒プロセスを指す言葉です。

消毒が微生物の無毒化を目指すのであれば、滅菌の目的は対象物から微生物を完全に取り除くことです。

医療、製薬、食品など多くの分野で重要な役割を果たします。

滅菌の具体的な例

消毒方法と同様に、「物理的滅菌法」と「化学的滅菌法」に分かれます。

物理的滅菌法は熱やフィルターを用いて滅菌するので、熱に強い機器や食品などに利用されます。一方の、化学的滅菌法は対象物が熱に弱い場合などに利用されています。

物理的滅菌法

  • 加熱法
    加熱法は加熱方法の違いによって「高圧蒸気法」「乾熱法」に分類されます。
    高圧蒸気法は高圧下で蒸気を使用して滅菌を行う方法で、高圧蒸気オートクレーブという機器を用いて行います。短時間で確実な滅菌を可能にしています。
    乾熱法は対象物を高温の乾燥熱で滅菌する方法です。微生物を熱と乾燥による脱水とタンパク質変性によって除去します。
  • 照射法
    高エネルギーの放射線(ガンマ線、電子線、制動放射線)を使用して微生物を滅菌する方法です。
    放射線が微生物のDNAを損傷し、不活化させます。
  • ろ過法
    微生物を物理的に遮断するろ過プロセスを使用して滅菌を行います。微小な微生物をろ過メンブレンに捉えることで、抽出物を滅菌します。
    液体やガス、飲み水の滅菌に使用されます。

化学的滅菌法

  • 酸化エチレンガス法
    酸化エチレンガスを使用して微生物を滅菌する方法です。ガスは対象物に浸透し、微生物を不活化させます。
  • 過酸化水素低温ガスプラズマ法
    低温で過酸化水素ガスプラズマを生成し、微生物を滅菌します。プラズマは微生物の細胞を破壊します。
    精密機器や微小な部品などの滅菌に使用されます。
  • 低温蒸気ホルムアルデヒドガス滅菌法
    低温でホルムアルデヒドガスを使用して微生物を滅菌する方法です。ガスは微生物を不活性化させます。

滅菌と似た言葉

滅菌や消毒と混同する言葉についても解説します。

無菌

すべての微生物が存在しない状態を指す言葉です。洗浄や滅菌のプロセスを経て、菌を取り除くことで達成される状態です。

手術に使用する手術用具や医療機器の生産、製薬工場での医薬品の製造、食品工場での包装や調理など、微生物の存在が許容できない場所で用いられます。

殺菌

滅菌があらゆる微生物を完全に除去することなのに対し、殺菌は特定の菌を殺すことを言います。

どのくらい菌を殺菌できるかという明確な定義はありませんが、薬機法によって「殺菌」という表示ができる商品は、医薬品や医薬部外品に限られています。

薬局で消毒スプレーや石けんのパッケージに表示されることの多い言葉です。

静菌

微生物の増殖を停止させ、一定以下の数に保つことを言います。

防腐剤の使用や、冷蔵庫で食品を保管することも静菌に当たります。

除菌

除菌は消毒や洗浄を用いて、対象物から微生物を取り除くことを言います。

滅菌と異なるのは、完全に除去された状態ではなく、一定数減った状態であることです。

除菌スプレーなどを用いて、家庭でも行える微生物対策として広く知られています。

抗菌

抗菌は、除菌や殺菌、滅菌とは異なり、直接的な手段を用いずに微生物が増えにくい環境を作ることを言います。

抗菌加工がされたおもちゃや哺乳瓶など、製品そのものに抗菌機能が付与されていることが特徴です。

防カビ

防カビは、一部のカビ菌の付着や増殖を防止する際に使われる言葉です。

お風呂用洗剤など、カビが生えやすい場所の洗浄剤などに用いられています。

WRITER
    • WDW 編集部
    • 株式会社ウォーターデザインワールド(WDW) 編集部は、当社の製品であるUFB DUAL®の魅力的を伝えるだけでなく、水と健康に関する有益な情報を提供することで、お客様の生活に役立つライフハックを提供しております。

掃除・洗浄関連投稿

サービスについて詳しく知りたい方はお問い合わせください!